インフォーマルサービスをケアマネジャーに周知できる仕組みで
資源の効果的な活用を実現

顧客名:愛知県西尾市様

情報最新化事業者支援住民サービス情報共有
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西尾市 健康福祉部 長寿課
課長補佐
髙須 一成 様

西尾市 健康福祉部 長寿課
地域支援事業担当
杉浦 弘樹 様

愛知県西尾市
人口:170,786人(令和4年2月1日現在)
世帯数:66,491世帯(令和4年2月1日現在)
概要:愛知県の中央を北から南へ流れる矢作川流域の南端に位置し、東に三ヶ根山などの山々が連なり、西に矢作川が流れ、南は三河湾を臨む。
昭和28年に市制を施行し、西三河南部地域の中核的な都市として自動車関連産業の発展とともに成長を続けてきた。日本有数の生産量を誇る抹茶(てん茶)やカーネーション、養殖ウナギ、アサリなど農水産物の生産拠点としても発展している。
URL:https://www.city.nishio.aichi.jp/
2021年11月インタビュー実施
トーテック
―最初に、西尾市様においての生活支援コーディネーターの取り組みについてお聞かせください。
杉浦様

西尾市の生活支援コーディネーターは日々、高齢者の介護予防のためになるものを求めて、市内の協議体、通いの場、介護施設や地域の商店を走り回っています。
ただ現場を見て回るだけではなく、そこにいる方々と会話し、どのような思いでその場を作られているかといったことを肌で感じることを大事にしています。それらを高齢者のために提供できる資源として把握して、介護予防につながるインフォーマルサービスとして持って帰ってきています。

その場に行った際には、情報を得るだけでなく、同時にその場を盛り上げることも意識して行っています。有益な情報や「市内でこんなイベントをやっている」とか、「他の地域でこんなことをやっている」などといった情報を置いてくることを心がけています。

このような活動の中で集めたインフォーマルサービスをケアマネジャーや、高齢者本人に伝えることが、生活支援コーディネーターの中心的な仕事と考えて取り組んでいます。

トーテック
―システム導入前はどのように生活支援コーディネーターが集めた情報を共有していたのでしょうか。
杉浦様
まさに情報共有が課題でした。西尾市では1層に5人、2層には7人配置しています。生活支援コーディネーターが得てきた情報はそれぞれの持ち物にとどまっていました。
そのため、エリアを跨いだ時に情報の共有ができなかったり、「この人は知っているけどこの人は知らない」といった差が生まれたりと、情報はそれぞれのコーディネーター個人の頭の中にしかなかった状態でした。
すると人事異動等で人が変わる際に、それまでに苦労して得てきたことが失われてしまいますし、業務の一連性がなくなり、我々もコーディネーターとしての成長が止まってしまいます。
トーテック
―そこで、令和元年度に他社のシステムを導入された。
杉浦様
はい。生活支援コーディネーターが集まる協議体の中で、コーディネーターが集めてきたインフォーマルサービスの情報を蓄え、コーディネーター同士で共有する仕組みが必要という話になりました。
当時はこのことを目的としたシステムは他になかったこともあり、他社さんのシステムを導入しまして、情報を蓄えることと共有することが無事できるようになりました。
トーテック
―運用しているうちに新たな課題が出てきたとのことですが、どのようなことだったのでしょうか。
杉浦様
情報を蓄えて共有することはできましたが、その情報をケアマネジャーや医療・介護の関係者、住民の皆様に効果的に伝える必要があることに気づきました。
そこで、西尾市では「けあプロ・navi」が平成28年度以来順調に稼働しており、ケアマネジャーや医療・介護の関係者に情報伝達手段として非常に機能していたことに目をつけました。
この課題に気づいたタイミングと同じころにトーテックさんが生活支援コーディネーターの支援ツールを開発したため、そこに乗っからない手はありませんでした。

西尾市ではケアマネジャーが「けあプロ・naviから情報をつかむ」という仕組みができていました。そのため、この仕組みの中にインフォーマルサービスの情報が加わると、自然な流れでインフォーマルサービスをケアマネジャーに見てもらえるという状況が作れると考え、そこが重要なポイントでした。
トーテック
―生活支援コーディネーター支援ツールの稼働前はどのようにけあプロ・naviを活用していたのか教えてください。
杉浦様
大きく分けると2つあります。

一つは「関係者向けに西尾市からの伝達事項を流す」ことです。ケアマネジャー向けの研修会や介護保険の事業者報告など、市から発信する情報を流していました。市内の介護保険の事業者はほぼすべて、けあプロ・naviから必要な情報を得ていただく仕組みを作っており、これが一番活用していたことです。

もう一つが「介護保険施設と医療機関の情報提供」です。市内の介護保険事業者の空き状況や医療機関がどんなところがあるかといった情報をケアマネジャーや住民の方が把握するためにけあプロ・naviに載せて公開していました。
トーテック
―生活支援コーディネーター支援ツールは2021年7月に導入されましたが、実感されていることは?
髙須様
非常に良くなったと感じています。インフォーマルサービスの情報はホームページ上で一般の方も見ることができるようになっています。そのサイトの名称は「けあプロ・navi」から「ケアネットにしお」に変えて、市民が親しみを持ちやすいようにしています。

また、西尾市のホームページにバナーを貼って、アクセスしやすくしています。
一般の方が見ることによって、「介護保険サービスにどういったものがあるのか」「地域包括支援センターってどんなところなのか」「居宅介護支援事業所ではどんなことを相談できるのか」。そのようなことをケアネットにしおに網羅し、載せています。システムをけあプロ・naviに一本化することによって、市民の皆様に見られやすくなっていると感じています。
トーテック
―システムを一本化してから新たに見ることができるようになった情報を教えてください。
髙須様
インフォーマルサービスでいうと、西尾市では「高齢者にやさしい店舗」という制度をおこなっており、市内1,200店舗ほどを資源として載せています。
また、通いの場やサロン、シルバー元気教室なども合わせると1,500件ほどとなります。これら高齢者の介護予防に役立つ資源をインフォーマルサービスとして、新たに地図上で検索できるようにしました。
トーテック
―住民の方、関係者の方、それぞれに見られたメリットはどのようなことでしょうか。
杉浦様
住民の方たちは、自分の住まいの近くに何があるのかを見ることで、まずどんなサービスが地域にあるのか目で見ることができます。
そこから気になるサービスについて地域包括支援センターやケアマネジャー、生活支援コーディネーターに聞かれることによって、漠然とした状態で聞かれるのと比べてより細かな状況が分かったり、そこに通うために必要なことをお手伝いができるようになったりと、より具体的な支援ができるようになりました。

また、とても重要だと考えているのは関係者に見られたメリットです。住民の方が直接調べることよりも、ケアマネジャーや介護関係者に見てもらい、その情報を住民に届けることの方がより効果的です。
このシステムがあることで、ケアマネジャーがインフォーマルサービスに対して、以前よりも気軽に考えることができていると感じています。

例を挙げると、ケアマネジャーが利用者さんの日常を何か埋められないかと考えるときです。デイサービスを利用している人は1週間のうち2日間にサービスを利用します。ですが、他の5日間は何もしていなかったり、日中独居だったり、暇な日ができてしまいます。
そこを如何に考えるかといったときがインフォーマルサービスの出番です。現在、介護予防の自立支援の考え方では、ケアマネジャーにそれを考えることを求めていますが、ケアマネジャーはただでさえ忙しいので、何もない情報がない状態で考えるのは無理があります。 けあプロ・naviのようなシステムがあることによって、まず利用者の近くに何があるかを考えることができたり、「ここに体操教室があるけどここに通わせてみたらどうかな?」といったように、ケアマネジャーが頭の中を整理することができます。

実際にシステムをきっかけにして、地域包括支援センターや生活支援コーディネーターにケアマネから介護予防やインフォーマルサービスを使いたいという問い合わせやより繊細な内容の問い合わせが来るようになりました。これがシステムを一本化した最大のメリットだと思います。
この事業はケアマネジャーとのコミュニケーションが非常に大事です。
表向きにはわかりにくいメリットですが、確実に市の生活支援コーディネーターや地域包括支援センターとケアマネジャーを繋いでくれているのはけあプロ・naviのおかげだと思っています。
トーテック
―ケアマネジャーや住民の方から生活支援コーディネーターにあった問い合わせについて事例を教えていただけますでしょうか。
杉浦様
ケアマネジャーからあった問い合わせですと、利用者さんのご家族から「うちのおばあちゃんが外に出られなくなり髪を切りに行くことができなくなったので、訪問してくれる美容師はいないか?」といった相談があり、そのような美容師さんを探しているとのことでした。
そのときにけあプロ・naviに掲載している「高齢者にやさしい店舗」の中から出張サービスをやっているお店を検索して、念のために電話で聞いたうえで、ケアマネジャーに紹介することができました。

また、住民の方からの直接の問い合わせですと、息子さんから「母親が車の自損事故を起こして廃車になってしまい、1か月前に免許を返納した。移動手段を失ったために家にひきこもってしまうことはよくないので、通える場所や体操などの趣味を見つけたりしてほしいが、どうしたらそういう場に出会えるか?」という相談がありました。
そのような場面でもけあプロ・naviをみてこの方の家の近くにどんなサービスがあるかを考えたうえで質問に答えることができます。

1事例目のケアマネジャーはけあプロ・naviをみたうえで、より詳細な情報を求めて連絡をしてくれました。生活支援コーディネーターが細かくお店に問い合わせ、情報を集めてているためその方にあったサービスを提案することができます。
2事例目の住民の方は、けあプロ・naviも生活支援コーディネーターという存在も知らない状態での問い合わせでした。普通の自治体であれば「そんなことを聞かれても...」となってしまいがちですが、けあプロ・naviで情報を確認して答えることができています。けあプロ・naviがあることで、安定した情報提供ができると感じています。
トーテック
―他にはどのようなメリットを感じられていますか?
髙須様
インフォーマルサービスの情報が共有できることになったため、効率化が図れています。
一人一人がもっていた情報をみんなで見ることができるようになったことは成果と考えています。市の職員や地域包括支援センターの職員が異動してしまい、育ってきたコーディネーターが変わってしまうときにも、蓄積した情報を引き継ぐことができるのはシステムの魅力のひとつです。
けあプロ・naviには常に1,500件ほどのインフォーマル資源情報の他、掲示板機能があります。そこを見てもらえれば新しい担当者でも最低限のことはしゃべることができるため、生活支援コーディネーターの質が保たれていると感じています。
トーテック
―当社の情報センターによるご支援についてはいかがでしょうか。
髙須様
これはトーテックさんの強みであり、我々もありがたいと思っています。
システムを運用する際に必ずネックになるのが情報の保守やメンテナンスです。通常、職員やコーディネーターがやらなければならず、非常に大きな負担になるのですが、そこをトーテックさんは理解されており、こちらから何も言わなくても月に1回、介護施設の情報を更新してくれています。
我々がやらなければならないことを肩代わりしてくれているイメージです。
我々はインフォーマルサービスの情報を必死で集めていますが、その集めてきた情報を集約してトーテックさんに渡すと、システムに反映してくれます。もちろんシステムに直接入力することもできるのですが、情報センターによる支援の仕組みがないと、個々の担当者がそれぞれ好き勝手に入力してしまい、システム内の情報の規律が整わなかったりバランスが崩れてしまいます。それを防ぐ意味でも情報センターに支援してもらっています。

けあプロ・naviというシステムをただ単に使わせてもらっているのではなく、トーテックさんは一緒になって伴走支援をしてくれています。

現在はコロナ禍ということもあり、休業や閉店があったり、逆に配食やお弁当などの新たなサービスを始めているお店もあるなど、日々目まぐるしくサービスが生まれたり減ったりしています。コロナ禍の中でも生活支援コーディネーターが考えて、動いて、集めてきたものをトーテックさんに支援してもらいながらけあプロ・naviで公開しています。
トーテック
―西尾市様では医介連携ツールと並行活用しているとのことですが、けあプロ・naviとはどのように連携しているのでしょうか?
杉浦様
どちらもクラウドサービスなので、まずは相互のリンクを展開しました。
それにより医介連携ツールからけあプロ・naviを見れるし、けあプロ・naviから医介連携ツールにアクセスし、スムーズにログインできるようにしました。
西尾市の考え方として、医介連携ツールは各専門職個人や特定のチームといった、より個人間に近い中でのやりとり支援をするツールで、けあプロ・naviは介護関係者・医療機関、住民といった組織や不特定多数に対する情報発信のツールといった形で住み分けしています。
身近なものに例えるなら医介連携ツールはLINE、けあプロ・naviはfacebookやインスタグラムのようなイメージです。どちらかというわけではなく、それぞれ役割をもって、必要だと考えて使っています。
トーテック
―最後にけあプロ・naviの今後の活用の方向性や地域包括ケアの充実に向けた方針をお聞かせください。
髙須様
今後はけあプロ・naviに市内のボランティア団体や、この事業に関連するサービスを展開している民間企業の情報を掲載することしたいと思っています。そうすることによって、通いの場や介護施設、医療機関でボランティアの方や民間企業の方が活躍できる機会があるのでないかと考えています。
介護予防関係者との間でボランティア・民間企業の方々が手を取り合い西尾市の介護予防事業を盛り上げてくことで地域包括ケアの拡充を進めていきます。そのための一つのツールとして、けあプロ・naviを効果的に活用していきたいと思います。

当社スタッフコメント

西尾市様をご担当させていただいてから2年が経過し、生活支援コーディネーター支援ツール導入にも携わらせていただきました。
支援ツールは、事業に関わる資源情報を一元管理し、関係者間での情報共有を効率的にすることをご支援いたします。実際に、西尾市様にもそのメリットを実感いただいております。
弊社のけあプロ・naviは、単なるシステム提供ではなく、丁寧なサポートを含めたサービス提供であると考えております。
西尾市様の「トーテックさんは一緒になって伴走支援をしてくれています」というお言葉は大変嬉しく思います。

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